子育て家庭にとって、突然の体調不良は避けられないもの。特に夜間や休日の発熱・咳・下痢など、すぐに病院に行けない時に役立つのが「市販薬」です。
とはいえ、「どの薬を選べばいいの?」「子どもにも使える?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、登録販売者の知識を活かし、子育て中の家庭でも安心して使える市販薬の選び方を解説します。あわせて、薬を使う上でのリスクや注意点もご紹介します。
市販薬選びの前提:子どもに使える市販薬は意外と少ない
まず知っておいてほしいのが、「子どもに使える市販薬は意外と少ない」ということ。
市販薬の多くは12歳以上(中学生以上)を対象としており、1歳〜6歳の未就学児向けの薬は限られています。特に以下のような傾向があります。
- 用法・用量が年齢や体重で大きく変わる
- 副作用リスクを避けるために対象年齢が高めに設定されている
- 小児向けの製品でも、成分が強すぎたり添加物が多い場合がある
このため、「大人と同じ薬を小分けにして与える」のは絶対にNGです。
解熱鎮痛剤:アセトアミノフェンとイブプロフェンの違いと注意点
子どもの急な発熱に備えて用意しておきたいのが「解熱鎮痛剤」です。ですが、どの成分を選ぶかによって効果や安全性は大きく異なります。
解熱鎮痛薬の主な成分は2つ
成分名 | 特徴 | 子どもへの使用 |
---|---|---|
アセトアミノフェン | 解熱・鎮痛。抗炎症作用は弱い。胃に優しい。 | 生後3か月以上で使用可能な製品もあり、比較的安全 |
イブプロフェン | 解熱・鎮痛に加え、抗炎症作用がある。 | 6歳未満には慎重に。副作用や合併症リスクも。 |
アセトアミノフェンが子どもに比較的安全な理由
- 脳の体温中枢に作用し、やさしく熱を下げる
- 胃や腸への負担が少ない
- 喘息の誘発などのリスクが少ない
- 小児科学会や厚労省も推奨しており、医療機関でも使用されている
市販の小児向け製品も多く、座薬・チュアブル・シロップなどタイプも選べます。
イブプロフェンの注意点:子どもに慎重な理由
- 抗炎症作用がある反面、胃腸障害のリスクが高い
- 高熱時に使用すると、まれにライ症候群などの合併症リスクが指摘されている
- 喘息を持っている子どもには禁忌になるケースも
そのため、医師の指導がない限り、未就学児への使用は基本的に避けるべき成分です。
市販で買えるおすすめの小児用解熱剤(アセトアミノフェン系)
商品名 | 対象年齢 | 特徴 |
---|---|---|
小児用バファリンチュアブル | 1歳以上 | 甘い味で子どもが飲みやすい。アセトアミノフェン配合。 |
小児用ムヒのこども解熱鎮痛剤 | 1歳以上 | 粒が小さく、服用しやすい。 |
こどもパブロン座薬 | 1歳以上 | 熱でぐったりして薬が飲めないときに便利。 |
薬のリスクと正しい使い方
薬は「効果」と「リスク」が表裏一体です。市販薬を使うときの基本的な注意点は以下の通りです。
✔ 使用前にチェックすべきこと
- 対象年齢・体重
- 成分(他の薬と重複していないか)
- 持病・アレルギーの有無
- 現在服用中の薬との飲み合わせ
✔ よくある誤解
- 「熱が出たらすぐに薬を使う」 → ✕
→ 子どもが元気そうであれば、38.5℃までは自然経過を見ることも選択肢。 - 「大人用を半分にして与える」 → ✕
→ 危険です。必ず子ども向けに設計された製品を使用しましょう。
まとめ:子ども向け市販薬こそ、知識が活きる
市販薬はあくまで一時的な対応であり、「使いどころ」と「使い方」を間違えなければ、子育て中の大きな味方になります。
登録販売者としての立場から言えるのは、以下の3点です:
- 子どもにはアセトアミノフェン系を基本に考える
- 対象年齢・体重を必ず確認する
- 迷ったら登録販売者や薬剤師に相談する
「市販薬は誰でも買えるからこそ、正しく使う知識が重要」です。子どもの健康を守る一歩として、日常の薬選びにぜひこの知識を活かしてください。
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