はじめに:便秘は「種類」によって対処法が変わる
「便秘に効く薬ください」と薬局に来られる方の中には、自分の便秘のタイプを知らずに薬を選んでいる方が少なくありません。実は、便秘にはいくつかのタイプがあり、症状に合った薬を使わないと効果が感じられないことも。
この記事では登録販売者の立場から、便秘の種類と市販薬の使い分けについて、わかりやすく解説します。
① 便秘の主な種類
便秘は、大きく分けて以下のタイプがあります。
▷ 弛緩性便秘(しかんせいべんぴ)
大腸の運動が低下して便をうまく送り出せないタイプ。高齢者や運動不足の方に多いです。
▷ けいれん性便秘
ストレスや自律神経の乱れが原因で、大腸が過剰に動きすぎて便が止まってしまうタイプ。ウサギのようなコロコロ便が特徴です。
▷ 直腸性便秘
便意を我慢することが続くことで、直腸に便が溜まっても排便反応が起こらなくなるタイプ。若い女性や忙しいビジネスパーソンに多いです。
▷ 症候性便秘・薬剤性便秘
病気や薬の副作用が原因のもの。市販薬では対応できない場合もあるので、長く続くようなら医療機関の受診を。
② 便秘薬の種類と作用の違い
市販されている便秘薬には、大きく以下のような種類があります。
▷ 刺激性下剤
大腸を刺激して排便を促すタイプ。即効性があり頼りがちですが、常用は避けた方が良い薬です。
【成分例】センノシド、ピコスルファートナトリウム など
▷ 膨張性下剤
水分を吸収して便のカサを増やすタイプ。穏やかに効くので、弛緩性便秘におすすめです。
【成分例】プランタゴ・オバタ(サイリウム)など
▷ 浸透圧性下剤
腸内の水分を増やして便を柔らかくします。即効性はありませんが、安全性が高く、慢性便秘にも◎
【成分例】酸化マグネシウムなど
👉 詳しくは:市販薬に頼りすぎない!家庭でできる症状別セルフケア術
▷ 小児・高齢者向け坐薬や浣腸
直腸に直接作用し、速やかに排便を促します。一時的な便秘に向いています。
【成分例】グリセリン浣腸など
③ 症状別|便秘薬の選び方
✔ 慢性的に便が出にくい場合(弛緩性便秘)
→ 浸透圧性下剤や膨張性下剤を優先的に使用
✔ ストレスが原因でコロコロ便(けいれん性便秘)
→ 腸を刺激しない浸透圧性下剤が無難(刺激性下剤は避ける)
✔ 旅行や環境の変化で急に便が出ない
→ 刺激性下剤や浣腸の一時使用が効果的
④ 便秘薬を選ぶときの注意点
- 刺激性下剤の連用はNG:腸の運動が鈍くなり、薬なしでは出なくなるリスクがあります。
- 水分と食物繊維の摂取も重要:薬に頼る前に生活習慣の見直しも大切。
- 1週間以上便秘が続く場合や激しい腹痛がある場合は受診を:薬では対応できない原因の可能性もあります。
おわりに:自分に合った市販薬を選ぼう
便秘薬は「どれでも同じ」ではありません。自分の便秘のタイプを知り、それに合った薬を選ぶことで、より安全かつ効果的な対処ができます。
不安があるときは、薬剤師や登録販売者に気軽に相談してくださいね。
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