「高血圧や糖尿病で病院の薬を飲んでいるけれど、市販薬を一緒に飲んでも大丈夫?」
「腎臓が悪いと言われているけど、ドラッグストアで薬を買っても平気?」
こうした相談は、登録販売者として店頭に立っているととても多く感じます。
持病があるときは、
・そもそも使ってはいけない市販薬
・慎重に選んだほうがいい市販薬
がある一方で、
・上手に選べば、市販薬でセルフケアできる場面
もたくさんあります。
この記事では登録販売者の視点から、
・持病がある人が市販薬を選ぶときの基本的な考え方
・高血圧・心臓病・糖尿病・腎臓病などで注意したいポイント
・ドラッグストアで相談するときに伝えてほしいこと
を、できるだけ分かりやすくまとめます。
⭐ ブログ更新情報や、市販薬・セルフケアの豆知識はX(旧Twitter)で発信中です。
➡ フォローはこちら:https://x.com/fukusuri_papa
※この記事は一般的な注意点の解説です。実際の使用可否は、必ず主治医・薬剤師・登録販売者など専門家に確認してください。
持病がある人の「市販薬の基本ルール」
まず、大きな前提としておさえておきたいのは次の3つです。
- 「病院の薬 + 市販薬」の飲み合わせに注意
- 持病によっては「飲んではいけない」成分がある
- 不調が続くときは、市販薬より受診が優先になることも多い
つまり、
・病院の薬が土台
・市販薬は、軽い不調を一時的にサポートするもの
というイメージでいてもらえると安全です。
高血圧・心臓病がある人が注意したい市販薬
① 血圧を上げやすい成分を含む薬
市販のかぜ薬や鼻炎薬の中には、
・交感神経を刺激して鼻づまりを改善する成分
・血管を収縮させることで症状を抑える成分
などが含まれているものがあります。
これらは人によって、
・血圧が上がりやすくなる
・動悸や不整脈が出やすくなる
といったリスクがあります。
【ポイント】
・箱の「使用上の注意」に「高血圧・心臓病の人は服用前に医師等に相談」とあれば必ず守る
・高血圧で治療中の人は、自己判断で市販の総合かぜ薬・鼻炎薬を選ばない
・血圧手帳をつけている人は、値の変化にも気を配る
糖尿病がある人が注意したい市販薬
糖尿病の人では、
・血糖値の変化
・末梢神経障害や腎機能の低下
・動脈硬化のリスク
などを抱えていることがあります。
注意したいポイントの例
・糖尿病の治療薬と、市販薬の一部で「低血糖」「血糖コントロールの乱れ」の可能性が指摘される組み合わせがある
・足のしびれや痛みを「いつもの症状」と思い込み、本来は受診が必要なサインを見逃してしまう
【ポイント】
・市販薬を選ぶときは「糖尿病の薬を飲んでいる」と必ず伝える
・足の痛み・しびれ・傷が治りにくいなどの症状は、市販薬で様子を見ず早めに受診
・甘味の多いドリンク剤や、糖分を多く含むシロップ剤も、量に注意する
腎臓病・肝臓病がある人が注意したい市販薬
腎臓や肝臓は、薬の「処理工場」のような役割をしています。
・腎臓の機能が落ちていると、薬が体の外へ出にくくなる
・肝臓が弱っていると、薬の分解が遅くなり、血中濃度が上がりやすい
特に注意したい薬の例
・一部の解熱鎮痛薬(腎臓や胃腸に負担になりやすいものがある)
・長期に飲み続けるタイプの市販薬(胃腸薬・便秘薬・漢方など)
【ポイント】
・腎臓病・肝臓病で通院している人は、市販薬を選ぶ前に主治医・薬剤師に相談
・どうしても市販薬を使うときは、「短期間・最小限」を意識する
・むくみの悪化・尿量の変化・だるさの増強などがあれば、すぐ受診を検討する
呼吸器や前立腺など、他の持病でも注意したいこと
慢性閉塞性肺疾患(COPD)・ぜんそく など
・咳止めで痰が切れにくくなるタイプの薬は、症状を悪化させることがある
・一部の鎮咳薬や鎮静成分は、呼吸を抑えるリスクも
→ 呼吸器の持病がある人は、自己判断で咳止めを選ばず、必ず主治医または薬剤師に相談を。
前立腺肥大症などで尿が出にくい人
・一部のかぜ薬・鼻炎薬・めまい止めなどに含まれる成分で、「尿が出にくくなる」副作用が強く出る場合がある
→ 「前立腺肥大で治療中」「尿が出にくい」ときは、その旨を必ず伝える。
ドラッグストアで相談するときに伝えてほしいこと
持病がある人が市販薬の相談をするとき、
ぜひ次の情報を一緒に教えてください。
- 今かかっている病気の名前(分かる範囲でOK)
- 病院から出ている薬(お薬手帳・薬の写真があるとベスト)
- 市販薬やサプリで、すでに飲んでいるもの
- どんな症状を、どのくらい前から感じているか
「全部覚えられない…」というときは、
・お薬手帳をそのまま持ってくる
・薬の箱やシートを袋に入れて持ってくる
だけでも、こちら側でかなり判断の材料になります。
家族ができるサポート
持病のある家族が市販薬を使うとき、
周りのサポートがあるとより安全です。
・病院とドラッグストア、両方に同じ情報(病気・薬)を伝えられるようにする
・市販薬を買うときは、家族が一緒に症状・持病を説明する
・「効かないから種類を増やす」「いろいろ試す」方向に行き過ぎていないか、ときどき一緒に見直す
「市販薬は気軽に買えるからこそ、情報の共有が大事」
という意識を、一緒に持ってもらえると安心です。
くすりちゃん&しずくちゃんの持病トーク
くすりちゃん
「“血圧の薬飲んでるけど、かぜ薬はどれでもいいよね?”って聞かれること、多いんだよね〜。」
しずくちゃん
「うん。高血圧や糖尿病、腎臓病があると、避けたほうがいい成分が出てくることもあるから、“どれでもOK”とは言いにくいんだよね。」
くすりちゃん
「だからこそ、お薬手帳を見せてもらえたり、『こういう病気で通院してます』って一言もらえると、すごく選びやすくなるよね〜。」
しずくちゃん
「そうそう。“病院の薬が土台、市販薬はサポート”って考え方で、一緒に安全な選び方を考えていけたらうれしいな。」
くすりちゃん
「持病がある人も、市販薬とうまく付き合えるように、いつでも相談してほしいね〜!」
関連記事
➡ はじめての市販薬セルフメディケーション入門|自分と家族を守る基本の考え方
📢 ブログ更新情報や、市販薬・セルフケアのゆるっと情報はXでも発信中です。
➡ https://x.com/fukusuri_papa



コメント